セイクリッドセブンにおける「カモがネギを背負ってくる」展開を分析してみた

いずみのさん(id:izumino)のギルティクラウンの記事に、比較としてセイクリッドセブンが挙げられていたので、私はある種の自分語り的なモノを経てのセイクリッドセブン感を語ってみる。

ノイタミナギルティクラウン』のハードコアでリアルな中ニ性 - ピアノ・ファイア
http://d.hatena.ne.jp/izumino/20111027/p1


セイクリッドセブンにおける「カモがネギを背負ってくる」展開とは?

ギルティクラウンセイクリッドセブンで似ている部分が、突然目の前に美少女が現れて、なんだかしらの力を与えてくれるって部分なのですが、それについていずみのさんは「カモがネギをしょってきてもおかしくない」選民意識と例えています。これは確かに言い得て妙だと私も思います。

 ある日いきなり、いつも動画で見ているアーティストの美少女が現れて、守ろうとしたら、強い武器を与えてくれる。
 そんな「カモがネギしょってきた」ような幸運
 しかも、その恵まれたシチュエーションにあやかれる特権性を支えている根拠が、
 
動画共有サイトでPV動画を観るのが好き」
「趣味で動画職人をやっている」
 
……という、「俺は他人とは違う趣味を持っているから」というのがリアルに中高生すぎます。



ノイタミナギルティクラウン』のハードコアでリアルな中ニ性 - ピアノ・ファイア
http://d.hatena.ne.jp/izumino/20111027/p1

さて、この「カモがネギをしょってくる」展開を、セイクリッドセブンに当てはめると……

カモ「お願いです、このネギを使って私を食べてください!」 主人公「うるさい、ネギは嫌いなんだ、もうネギはまっぴらなんだよ!!」

なんだこの会話。しかも主人公はネギないと暴走するし、自分で例えてアレですがなんだこの例え。


セイクリッドセブンにおける「ネギ」

おかしな例えにはなってしまいましたが、上記の例えでいうところの「ネギ」を受け取るアルマ君自体が、過去に何だかの形で既に力を経ていて、かつその力の怖さも知っていることが一番の差異なのだと思います。だからカモがネギを背負ってきても何も反応しないどころか、そのカモに向かって「帰ってくれ」と一喝するんですよね。


この「ネギなんていらない」みたいな事言ってたのが大きいのです。ここはあえてですが、もうすぐ三十路である私の観点から少し語りますが、大きすぎる力は逆に自分にとってのリスクになりますし、第一周囲の人達を簡単に傷つけてしまいます。


つまりは「カモが背負ってきたネギ」の怖さは、歳と取れば取るほど痛いほど分かる傾向にあるのですが、十代男性の場合、よほどの人生経験をしないとその痛みはまだ分からないのだと思います。そうすると十代男性から見て「何でネギ受け取らないんだ!!」という問題に転じてしまいます。十代男性がセイクリッドセブンの1話を見たら、まず「カモがネギを背負ってきてきた」のにそれを受け取らない、アルマ君の行動が不可解に思えてしまうのではないかと推測します。


セイクリッドセブンにおける「カモ」

ここで「カモ」に話を移しますと、セイクリッドセブンにおけるカモはとてもじゃないけど美味しそうに見えない……とか言ってきたら、凄い勢いで罵倒コメントがこのブログ飛んできそうなので、自己弁明で言っておきますが、これは十代男性からみて「美味しそうに見えない」という意味です。


話は何故かヒロインの外見上の話に飛躍するのですが、十代とは言わず男性(ただし両方の本編を見てない人限定)に「ギルティクラウンのヒロインである楪いのりと、セイクリッドセブンのヒロインである藍羽ルリのどっちが可愛い?」って質問をしたら、ほぼ九割九分で楪いのりが圧勝すると思います。ええセイクリッドセブン好きの私でもそう思いますとも。っと、そこの君、コメント項に罵倒コメントをしようとするのを止めるんだ!! おっとそこの君も、ブックマークに罵倒コメントを残そうとするのを止めるんだ!! 割とこないだのピングドラムのエントリでナイーブになってるんだぞ私!?


まあでも外見上についてセイクリッドセブンの場合は、イラストレーターのいのまたむつみさんを起用したことからはじめ、女性キャラに性的・萌的なバイアスがほぼ無い造詣なのに対し、男性キャラがちょっと艶っぽかった(どういう表現だこれ)造詣だったから、やむを得ないのかもしれない。対するギルティクラウンはredjuice氏を起用して、ヒロインである楪いのりを筆頭に女性キャラに性的・萌的なバイアスがかなり強かったりします。ほら、このCDジャケットを見れば分かるぢゃないか!



また、ここでもう一つポイントがあって、セイクリはずっとカモ側の視点から描いてたという事が大きかったり。

 『セイクリッドセブン』も「主人公にヒロインが力を与える」タイプのサンライズアニメでしたが、こちらも「ヒロイン側の視点や都合」でお話が展開するところがあって、しかも主人公の性格も枯れてましたからね、大人っぽい(高校生っぽい?)動機で作られたアニメになってましたね。


ノイタミナギルティクラウン』のハードコアでリアルな中ニ性 - ピアノ・ファイア
http://d.hatena.ne.jp/izumino/20111027/p1

ここからは完全に推測だけど、キャラ造形と、主にヒロイン側の視点で描かれていた理由って、ある程度の女性視聴者をターゲットにしていたのではないかな? と思ってしまう。もちろん二十代以降の男性もだけど。物語の語り部をヒロインにして、キャラクター造形をいのまた氏が手がけることによって、あら不思議、ロボットアクションアニメなのに女性も見やすい作りに! その反面、十代男性視聴者にはとっつき難いという問題が発生したのもまた事実。しかし、この「十代男性だけ刺さらない」パターンはDTB1期と似た現象かも知れない。


それにしても、ルリがもうちょっとスタイルが分かりやすい格好をしてたら、きっと中学生引っかけまくりだったオニ、と鬼瓦さんは申しております(責任転嫁)


「カモがネギを背負ってくる」展開が楽しめないケース

こっからは半ば私の自分語りが入ります、自分語りが苦手な人注意!


ここでいずみのさんのエントリのブックマークで、実に私に近い意見の方がいましたので引用します。

amaiu アニメ
「受身の選民意識」に黒歴史えぐられた。/中二とかセカイ系って男の子のための言葉だよなーケッ!って思うから私はギルティクラウン受け付けられなかったのかな。セイクリとギアスは楽しかったんだけど


はてなブックマーク - ノイタミナギルティクラウン』のハードコアでリアルな中ニ性 - ピアノ・ファイア http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/izumino/20111027/p1

これ、私は男性なのだけど、このコメントがすごい分かるんです。


ここで「中学二年」というキーワードから私が中二の頃を思い出すと、周囲とろくにコミュニケーションが取れず、受け身のコミュニケーション方法を取らざるを得なかったのと、友人以外だと男性より女性の方が喋る回数多かった……というか、そもそも男性と喋る回数が絶望的に少なかったのです。


男性は基本コミュニケーションを取れない人間は放置しますが、女性は何故か声をかけてきますからね。あと部活で男性が私しか居なかったのも大きいかと、その反面中二でBL文化の存在を知ったりもしましたけど……そういう経緯があった結果、ロクに自意識が成長しなかったんだろうなと、今では分析しています。まぁ、今でも八方美人ではありますがw


だからそういう環境的な要因もあり、男性的メンタリティがイマイチ理解できませんでした。その結果、この頃の中学生が好きそうな作品やら、そこから十代後半から二十代前半に到来したセカイ系作品群やらを楽しむセンスが中々得られませんでした。大体エヴァの存在を知ったのも、何かの報道特集で知ったからですし。


楽しめるようになったのは、ここ4〜5年前ぐらいかな? 実況によってその「尖った部分」を実況することによって「俯瞰化」させること、つまりはネタにして楽しめるようになりました。ここでツイッターで見かけたこすひなさんの発言を引用すると

つまりはこういうプロセスを経ることによって、中二作品だろうがセカイ系作品だろうが、楽しめるようになったのだと思います。まぁ、その前にもラーゼフォン見て2chで反応見てげらげら笑ってた下地もあるのですけどね……w


ここで私が何を言いたかったかというと、つまりはそういうメンタリティの人間でも楽しめるのがセイクリッドセブンの魅力だ! と言いたいわけです、ハイ。


余談

セイクリッドセブン 銀月の翼』を年明けに見に行こうぜ!

ナイトの視点で描かれる、もうひとつのセイクリッドテイカーの戦い・・・

特別編集版『セイクリッドセブン 銀月の翼』のイベント
上映が、2012年1月7日(土)より、全国6館でのイベント上映が決定!


銀月の翼 | セイクリッドセブン http://www.sacred7.jp/shirogane.html


あとBD買おうぜ! 私まだ買ってないけどこのエントリ書いてて本当にセイクリッドセブンが心の底から好きだって気づいたからBD買いに行くわ!


追記(20111102午前):
本当はカモ項の末尾に「ルリがもうちょっとスタイルが分かりやすい格好をしてたら、きっと中学生引っかけまくりだったオニ」って一文があったんですが、編集した段階で消えてましたので足しました。


関連過去エントリ:
セイクリッドセブンを見終えて − 総評まがいの羅列
http://d.hatena.ne.jp/str017/20110925/p1