けいおん!!5話における、梓と純の距離感。

1回目の視聴は「あー、いいなー、下級生組もふもふしていてー」という感想だったけど、2回目の視聴の際に、梓と純の間に微妙な距離感があることに気づいた。その知覚してしまった瞬は、衝撃だった。「そっか、この3人、普通に仲良し、というように簡単に説明できるような仲ではないのだね……」といった感じに。


以下目次

  1. 梓と純と「違和感」
  2. 梓と純と「後輩との関わり」
  3. 梓と純の「距離感」
  4. 梓の「見ている先」
  5. 純の「見て欲しい先」
  6. 梓と純と「6の存在」
  7. おまけ

1.梓と純と「違和感」

まず一番最初に「違和感」が発露したのは、純がバット型のチョコパンを構えてるときに、唯のメールが来たあたり。この辺りは憂と梓が純そっちのけで、唯の送ってきた写真を楽しんで、純が放置された。その後、3年の教室入った際に、既に他の二人と純との間に距離があったりする。まあ、ここは純だけ好奇心満々ってだけなので、まだ「違和感止まり」で、「距離感」も何にも無いですが。



2.梓と純と「後輩との関わり」

本題に入る前に、ここでは飽くまで前提という意味で、ジャズ研とけいおん部は対比関係にあたる事を挙げておく。理由は、ジャズ研は部員数が多いのと、棚の左上にトロフィーがあったりすることから、部活内にて「競争」が存在する為。まあ、純がしっかり先輩をやってたり*1、ジャズ研は 1年が一番多そうなので一概にそうとは言えない。


ここで梓は、けいおん部で出来なかった、後輩の指導を、ジャズ研で成し遂げたことになる。しかし、純は指体操を上手く行えず、へんなボケをかましてしまい、しかもすべってしまう。結果、純ちゃんとジャズ研の情報が提示され、更に後輩の関わり方の差が梓と純で、へんな形で差が出てしまった。ここから考えると、純と梓の関係は、ある意味、静的な対比であると言える。


しかし、あずにゃんは1年生に教えてても、特に深く反応してないなぁ。何故?



3.梓と純の「距離感」

純とおやつの絡みの後、何故か挿入される唯のメール。憂と梓が一緒にメールを見た後、純との間には明確な距離ができる。その距離を詰めるように、梓に対し寝そべりゴロゴロアタックをかます。SEこそ「ぷにゅ」みたいな音だったが、見てる限りでは梓はかなり痛そうだった。


その後、純だけベッドで寝て、憂と梓は床で寝ることになる。ここで梓の心配を発露する相手が、憂だけなのに加え、翌日に純が使う際だけ、何故か歯磨き粉が無くなったため、無理矢理ねばって出そうとするシーンもある。意識して見ないと分からないが、明らかに純だけ仲間はずれになっている。


そう、この梓と純の「距離感」の描写、これが今回のポイントだったりする。その後、純は漫画を読むことでコミュニケーションを取ろうとしない姿勢を取るが、それを梓が注意する。しかし、純が漫画を読んで閉じこもる状況になったのは、何故なのか? これを解き明かすには梓の「見ている先」を追う必要がある。



4.梓の「見ている先」

梓と憂が「一緒に動物園に行こう」と相談しているシーンから、梓が憂に対して発露した内容を辿ると、修学旅行の思い出に浸る4人から置いて行かれる、という不安を持っていることがわかる。これは「あずにゃんが抱えるオルタナティブ的な問題」にも関わる事項だが、この問題はこの記事とはあまり関係無いので、ひとまず置いておく。


問題は、Aパートにおいて梓は、3年組+憂を見てるだけで、純を見ていない、ということである。純が何かしようとしたら、そこでメールが届き、純がほったらかしになる。一方の憂と梓は、ケータイで先輩たちの様子みて笑ってたりしていたりする。正直、これはキツイ。



5.純の「見て欲しい先」

一方、純は憂や梓とは違い、一回メールが来た後はほとんどメールが来ていない。これは「ジャズ研」の先輩たちと、「けいおん部」の先輩達と比較しての、後輩との距離の取り方の違いに出ているのだと思う。「ジャズ研」は上昇志向で、純は自慢していた。だが後々に「けいおん部」の先輩達から、頻繁にメールが送られる様を純は見ているだけだった。


そこから純はあれからメール来ずじまいで、一方の憂や梓は楽しげにメールを取っている為、何だか輪の外に出されたような感覚を抱いたのだろう。その結果が「ぷにゅ」と音がした、あの寝そべりゴロゴロアタックである。


また、梓に対する劣等感、という側面もあるかもしれない。1年生に上手に教えてたり、長くて黒いロングなサラサラヘヤーは、純に軽い劣等感を与えるのに、十分だったと思われる。それに加え、梓が3年生組+憂しか見てないことから、純が漫画を読むことに閉じこもったのかもしれない。そんな純に梓は「友達無くすよ」って、あずにゃん、そりゃないよ…



6.梓と純と「6の存在」

ここで先に述べてしまうと、「6の存在」とは、「トンちゃん」であり、「6巻」であり、「6番目の存在」のことだろう。


純が漫画を読んでいる途中に、6巻が無い為唯の部屋に入ることに。しかしそこには6巻は無かった。ここで純が諦めきれないのも、梓が「1冊ぐらい良いじゃん」の部分に反応した……のかもしれない。まあ、これは確実にこうといえる証拠が無いので、怪しいが。


トンちゃんを思い出す部分に関しては、1人目の「6番目の存在」である憂が関わってくる。憂の天才的な才能を発揮し、すぐにホームランを出す様は、ある種唯と同じような、無邪気さという強さの提示に近いと思う。その憂がホームランを出してゲットした景品が、トンちゃんを連想させるような、亀のぬいぐるみだった。


ここで梓からすれば、トンちゃんの餌やりという「6の存在」という再取得は、ここでは「憂の存在」+「トンちゃん」という存在を再取得することになり、自分が見捨てられる心配を払拭するキッカケになった。同時に純と「憂の無邪気さという強さ」を目の当たりにすることによって、梓自身にも「忘れていた何か」に、無意識ながらも気づかされることになる。


部室内での憂と梓のやり取りで、トンちゃんと梓が一緒の仲間だと、憂越しに指摘される部分や、トンちゃんのいる棚の下に「6巻」があったのも、偶然ではないだろう。この「6巻」に関しても、「6の存在」という意味合いが強い。そして、憂と梓と純はセッションをして、そしてその後、またもや唯からメールが来るが、そのときは純も一緒に唯のメールを覗き込み、笑い合う。そして壁は取り除かれたのであった。(少なくとも今の段階では…)


7.おまけ

・しかし、綺麗に終わるかと思った矢先、同時刻3年生組は道に迷っていたのであった。これは何かの前触れ?(考えすぎ
・キーホルダーの「けいおんぶ」がみんなに渡る、しかし字の並び方が綺麗に円環にならないことや、梓が何故か「ぶ」という、ある種余り物を持たされたことから、早くも幸先先行きが不安になってしまう。



関連過去エントリ:
『続・あずにゃん問題』改め、あずにゃんが抱えるオルタナティブ的な問題 http://d.hatena.ne.jp/str017/20100412/p1
けいおんのシリアスを否定するなら、もうちょい具体例を挙げよう http://d.hatena.ne.jp/str017/20100422/p1


けいおん! 第13話(番外編) http://d.hatena.ne.jp/str017/20090703/p1
あずにゃん問題なんて、ほんとはなかった http://d.hatena.ne.jp/str017/20090713/p2
吾妻さんのけいおん批判に関して、私なりに思った事 http://d.hatena.ne.jp/str017/20091019/p1

*1:梓には負けるが