アニメブログ年末合同企画「2009年ベスト/ワーストアニメ」

本来は時間制限オーバーなのですが、私もベスト/ワーストを表明してみたいと思います。企画概要は

アニメ(ブロガー・twitterアニメクラスタたち)の饗宴、あるいは2009年アニメベスト/ワーストのススメ - 反=アニメ批評
http://d.hatena.ne.jp/ill_critique/20091220/1261317064

アニメブログ年末合同企画 - EPISODE ZERO
http://d.hatena.ne.jp/episode_zero/20091220/p2

をご覧下さい。


私のベスト/ワーストを挙げるなら、ベストは黒神 The Animation」「空を見上げる少女の瞳に映る世界」「GA 芸術科アートデザインクラスという、見る人がビックリ仰天するような作品をベストに挙げたり。いやもしコレを見て「真面目にやれ!」と思う方々もおられるかと思いますが、私は至って真面目です!


しかし選評におけるコメントに関しては、正直な話過去に書いたことと重複しますので、過去の文章から引用致します。

決して至極の作品…とは言えないんだけど、絶対に忘れられない作品になりそうだ。チープながらも何処か熱い、不思議な魅力に溢れた作品だった。願わくばある種90年代の忘れ形見であると同時に、10年代への新しいスタンダードへの鼓動でありますように。

 

まあ、問題点は山積みだと思う、黒神… というかサンライズ全体で見ても、今年の作品はどれもかなり問題がある状態だろう。しかし、失敗は最大の成功の元であるから、是非ともこの作品を越えるような「熱い」作品を見たい、そしてその時は是非とも小林常夫監督に作ってもらいたいです。

 

アクションは、何というか凄い。しかも通常の1色に近いアクションではなく、通常よく見られる流線背景系から、アニメでは珍しいバイクアクション、極めつけは1話のオールラウンドな格闘と19 話の超能力系大規模バトルだろう。1作品だけでここまで色んな種類のバトルシーンが見れる作品は貴重だと思う。


黒神 The Animation 第21話〜第23話 - 流し斬りが完全に入ったのに
http://d.hatena.ne.jp/str017/20090727/p1

今期、というかたぶん今年最強のネタアニメ。たぶんこれを越えるのは不可能で、しかも狙ってネタアニメにした訳じゃなさそうなので余計に凄い。見た人は確実にネタアニメの歴史の証人になれる。正直な話、最終回のあの突き抜けっぷりには震えた。しかし何故ここまでネタアニメ仕様になってしまったのかが不可解すぎる。


空を見上げる少女の瞳に映る世界 9話(最終回) - 流し斬りが完全に入ったのに
http://d.hatena.ne.jp/str017/20090311/p2

GA 芸術科アートデザインクラス」に関しては、まともに選評書いてないので、ここで書き下ろします。

芸術的な用語やギミックを駆使しつつも、半ばひだまりスケッチを意識しつつも手法は真逆のスタイルを貫き、カット数を極限まで減らして見せる。その関係上どうしても声優陣にかかる負荷は大きかったように見えるが、本来の役柄と違う配役をあえて当てることで(トモカネ除く)逆に新鮮みが溢れた感じになっていた。……と、難しい理屈はさておいても、ただ楽しかったです。

さて、次はワースト作品の方に入りますが、結構多かったり(汗

などなど、色々あるのですが、今年一番キツかった作品は……
 
 
東京マグニチュード8.0


東京Mは「オチが安易で発展性が無い」と「子供たちがペラい 」と「8話以降のアレ」で何がダメか全部説明できる、というか8話以降の「たった4話」であっこまで糞にできるのはある意味素晴らしい才能かもしれない。……と、ついったで書いたことと重複するのですが、細かいところまでしっかり説明します。


まず、オチが酷かった。まずは引用で「発展性なし」の部分から説明すると

この辺りの物語の方向性は完全に好みの問題だが、物語の着地点を「登場人物の死」に置いてしまうことによって、それ以上発展性が無い、閉じた物語になってしまう。つまり東京Mの話は「悠貴が死んだ」で止まってしまう、それ以上の意味を全く持たない物語になってしまい、意味合いとしては焼き畑とそんなに変わらない。


東京マグニチュード8.0 第11話(最終話) - 流し斬りが完全に入ったのに
http://d.hatena.ne.jp/str017/20090930/p1

この、そこで終わってしまい後はどうにでもなれ、というオチはちょっと受け入れがたいものがあります。地震というある意味現代モノとして考えうる中で、最も壮大なテーマとして作ることも出来たのに、結局は尻つぼみで終わってしまった。まあ、ノイタミナだから過度な期待こそしてはいないのですが、それを踏まえても酷かった。


次に「8話以降のアレ」をまた引用で挙げると

これはフラッシュバックで「悠貴君は実は死んでいる」と思わせるような描写がされていた事と、自衛隊員さんの反応から見てそう推測できる。

 

すると前記の事を踏まえて考えてみると、マリさんの方も不確定だといえる。つまりマリさんが娘&母親と思わしき遺体を観測していない時点で、ある種「シュレーディンガーの猫」的な状態、つまりマリさんの娘&母親の生死自体もここで確定していない所謂「重ね合わせ状態」になっているという解釈になってしまう。

 

過去の作品でも似たような演出はあったけどイマイチ真価は発揮できていなかった、がこの作品はその描写は見事に演出として機能をしている。けど、ここからは批判される事覚悟で書くけど、この作品ってさぁ、確かリアリティのある災害シミュレーションが売りだったはずだよね? ……いいのかな、この演出?


東京マグニチュード8.0 第9話 - 流し斬りが完全に入ったのに
http://d.hatena.ne.jp/str017/20090908/p2

リアリティのある災害シミュレーションが売りである、のにも関わらずシュレーディンガーの猫的な演出を行う、しかもその演出が舞台装置として機能しているのが逆に皮肉な結果だったと思います。


さて、最後は「子供たちがペラい 」なのですが、真理さんやモブの大人達はちゃんと描かれている、のにも関わらず、子供たち、とくに肝心な未来と悠貴がちゃんと描かれていませんでした。何というか未来主観で話が進んでいるのにも関わらず「大人から観測した子ども」にしか見えないのは最早最悪でした。


しかも、これ、何が凄いかというと「子供たちがペラい」要素以外は「たった4話」でそれを成し遂げてしまってる。つまり「たった4話」で作品をワーストに突き落としてしまってる、ここまで手際の良い作品の転落する模様は今までも色んな作品がありましたが、ここまで美しく転落する様は見たことがありません!


さて、これで私の「2009年ベスト/ワーストアニメ」を挙げるのは終わるのですが、ここで一言付け加えさせてください。私のベスト/ワーストは上記作品なのですが、貴方のベスト・ワーストは貴方の心の中にあります!*1 それを忘れないでください!

*1:(C)銭形警部