DARKER THAN BLACK -流星の双子- 第6話 香りは甘く、心は苦く…

ネギはコンビニで買ったのではなく、その辺にある畑から抜いてきたんですね、分かります!(違

黒は蘇芳に銃を撃たせない、蘇芳は黒に酒を飲ませない

コンビニにネギを買いに行こうとするシーンで、黒は蘇芳に撃たせない約束をし、また蘇芳は黒に酒を飲ませない約束をさせます。この関係は私が過去に書いたOP考察でヌーボー氏が予想した展開とほぼ一致すします。

EDにおいてもこの「二人」の対比が成立しており、最後には同じ空を見上げるという演出で締めに入る訳ですが、私には黒が蘇芳を「輝かせる」ための役割を担ってくれている、もしくは「暗さ」に引きずり込まれるかもしれない蘇芳を「緩和してくれる」存在として描かれていくのではないかと思われます。


DTB流星の双子OP語り「光り輝く蘇芳と黒より暗い黒」 - 流し斬りが完全に入ったのに
http://d.hatena.ne.jp/str017/comment?date=20091016#c

しかしこれを振り返るには、まず黒は何故銃を撃たせたく無くなったのかが重要です。前回の感想からちょっと引用してみると……

黒の「最低だ…」という台詞はどこに掛かってるのだろう? ここを推測する鍵は2つ。


(中略)もうひとつは、その前に3人+1匹で鍋を囲ってたシーン。あのシーンから見るに、蘇芳は恐らく半分ぐらいは契約者で、残り半分は人間だと推測してみる。理由はあの鍋を平気で食べていたのはジュライのみで、同じリアクションを返したのは蘇芳と黒で、蘇芳も黒も契約者である=感情がないにも関わらず人間臭い部分がある。


DARKER THAN BLACK -流星の双子- 第5話 硝煙は流れ、命は流れ… - 流し斬りが完全に入ったのに
http://d.hatena.ne.jp/str017/20091108/p1

蘇芳が鶴を射止め涙を流した事や鍋のまずさを顔に出した事から黒は互いに感情がある≒人間だと提示して、その後蘇芳にも仕事の依頼が来た事に対し黒は「最低だ…」とつぶやき、そして今回蘇芳は銀を撃つのを止めた。つまり黒は鍋を囲うシーンで蘇芳の人間味を感じ、そしてここで銀が撃たれようと=蘇芳が撃とうとする事で「亡くす/奪う事の悲しみ」を再確認し、黒は蘇芳に銃を撃たせるのを止めさせた。という一連の流れを推測することができます。


一方の蘇芳の方も細かい部分はめどいので書きませんが、黒から逃げる→黒を乗り越えようとする→完全な契約者になろうとする→黒に撃つのを止められる、という流れを追うことになります。というか蘇芳の場合完璧なストックホルム症候群のような気がする……(汗

感情を動かす演出

今回の演出は映像面で言えば感情を深く突き動かす演出で、特にラスト付近の岩戸オープンで大泣きのノリオ→ズラ取ったセルゲイも大泣きするシーンが一番顕著だったかと思います。ノリオの母親が作った対価であるケーキを貪るシーンは、その前でのノリオが言った「母ちゃんの写真が一枚も無かった」と同期しており、ノリオは母親から形としての想い出ではなく、いずれかは無くなる愛情としてケーキを受取りそして食べ、食べ終えることで母親の死を乗り越えるという意味を内包してると思います。


またそこでのレバノンは普段のようなオカマ姿ではなく、ズラを取り涙を流すといった素の姿で描かれ、またノリオ父親としての意味合いも強く描かれていました。普段茶化したような性格のふたりですが、4〜5話で描かれてたように両者は涙と縁遠い人間でしたから、その分こころ動かされるこの描写はお見事。


更に映像面に加え、台詞も「そして、通り過ぎていく」の部分+写真が無い事実で、しっかりと残り香(母親の思い出)を印象深く描き出しおります。


しかしなんでそんなに深い回なのに、何故に凄いイマイチだと思ったのかというと……

「乾いた」黒の契約者と「湿った」流星の双子

まず私が思う黒の契約者と流星の双子のイメージを例えるなら、黒の契約者が「乾いてる」ならば、流星の双子は「湿ってる」といった感じです。


例えるなら、今回の話が黒の契約者の際に放送されていたなら、ノリオの母が死んだ後にノリオとレバノンが泣き合うシーンは恐らくカットされていたでしょう。理由としては、黒の契約者時は殺伐かつ乾いた雰囲気なので、例え作中で重要な人物が死んだとしても、その後残された人物の描写はさらっと流される傾向があります。


だとすると、流星の双子を考える場合においてこのシーンがとても重要な意味を帯びてくる事は間違いありません。と同時に、この部分が黒の契約者から見だした人(というか主に私)にとってのボトルネックになっているのだと思います。

おまけ:流星の双子4〜6話から見る岡田脚本の特徴

一言で言ってしまえば男は単細胞、女は嫉妬深い。これ以上何を言うことが!