うみものがたり〜あなたがいてくれたコト〜 第12話(最終回)

光あるから影がある、光がその輝きを増すと、闇もさらに深くなっていく。島唄が「たくさんの別れや悲しみを乗り越えてきた島の人達の心」であると同時に、セドナは「島の人達が海に流した悲しみが具現化したもの」であった事から、島唄セドナは存在として同質なものだと言える。その為、唄が光と闇は両義的だとあらわすのと同じ、セドナもまた両義的な存在であった。
 
最後のシーン、夏音はマリンに別れを告げる際に悪態をつく、しかしその言葉とは裏腹に、心はもう邪悪とはかけ離れたものに転化していた。そして、その後に最後の抱擁、そして「あいしてる」の言葉。
 
マリンと夏音は今生の別れになりそうな別れではあったけど、「ずっと、あいしてる」からその心は永遠に別つことはないだろう。まあ劇中の唄に「海と空はゆらぎながらふれあい、分つことはできない」ってあるし、あと亀の言ってる事はだいたい覆ったし、今回も案外覆っちゃうんじゃ……(笑
 
そもそも「悲しい別れ」という言葉や、劇中の過去の描写、ウリンが正気に戻った後の行動から、どうしても「死にオチ」へと向かうのかと思ってしまう。しかしそれは覆り、その代価として「今生の別れ」が提示された。このように「安易なオチに逃げなかった」だけでもこの作品を評価して良いと思う。

総評

正直な話、皆既日食の回までは当作品を若干否定的に見ていた。だが、その皆既日食島唄、そしてそれに仕掛けられていた真意に気づいた途端、その印象はひっくり返った。その反面このカオスな世界観に加え、中盤の急激な変化に見てる側が対応できるかが肝だったといえる。私としてはその点も含めとても楽しまさせて頂きました。