狼と香辛料 8話から12話と羊飼いのお話

お話の内容もさるものながら、ゲストの羊使いであるノーラに着眼すれば面白いと思う。
 
そもそも羊使いとはキリスト教系の神話では、人々を羊と例えることで、羊飼いは神の使いに例えられることがあるらしい。ここで本編でのノーラとホロの関係を羊飼いと狼の対比として考えると、ここにも新しい神と古き神の対立という構図が見いだせるように思える。つまりは、決定的に相容れない存在であるんだろう。
 
次にお話の構造を分析すると、傭兵がうろついているという面白い伏線が存在する。傭兵が暴れる前提としては「戦争が少なくなる」と傭兵が暴れ出す、という解釈を持っていれば、今回の話は読みやすい。そしてここから出てきた「戦争が少なくなる」という伏線には正直驚いてしまった、そう武具の物価の下落である。しかしこの作品は要素が細部にまで張り巡らされている為に、どれが伏線なのか、かなり読みづらいという特徴があるけど。
 
そして、その武具の暴落からの展開がお見事、武具の暴落→2日の猶予の借金→後一歩というところでホロが原因で金が借りられない→ホロの傷心→孤立、みごとな転落の構図だ、1話でここまでやれるのは相当手際が良いと言える。んで、その後の転落のあとにホロとの仲直りという「ご褒美」を持ってくる辺り、ご褒美を越えて卑怯だあああああ!!
 
通して見ると、1期目は古き神と新しき神の対立という構造……という難しい構造から見なくとも、ホロの「敵対者」が見えてくるようなお話なのだろう。
 
よし、2期目の感想をアップする前に書き上げられたぞ!(2期目本放送開始前には間に合わなかったけど)