ベン・トーにおける小梅という存在と、欲望・直感・本能

そういえば、ベン・トーの小梅の存在が、ちょっとした話題になっているようだ。

ベン・トー』の白梅梅の理不尽暴力について - 隠れてていいよ
http://d.hatena.ne.jp/thun2/20111104/p1
ベン・トー「白梅梅問題」から嫌悪感表明の是非について考える - flower in my head
http://d.hatena.ne.jp/spring-ephemeral/20111104/1320414208

それにしても、えらい嫌われようだ。まぁ私も小梅嫌いだけど。ツイッターの意見では

というのもあった、確かに小梅の行動はいじめを連想させる。正直気分の良くないものである。しかしながらここまで良く嫌われるような造形のキャラクターを描けるものだ。ツイッターでも書いたことの繰返しになるが、ムカつくキャラの造形を立てるには、理屈ではない何かがあるんだろうと思う。そういう意味では原作者のアサウラ氏にはそういう類い希なる「ムカつくキャラの造形が凄まじく上手い」という才能があるんだろう、たぶん理屈で考えて作ってない。


個人的意見としては、確かに小梅にはイラっとはするけど、小梅みたいなアレなキャラが居ても別に構わないとは思う。弁当争奪戦に参加しない時点で脇役ではあるんだし、00でいうサーシェスの話絡まない版みたいなものだと思っておけばいい。いやでもアレ社会的そもそもヒロインがどうとかい以前に人間的にアレだな後ろ盾がある分、サーシェスより性質が悪いような気がする(汗


しかしまた何故にこういうキャラクターが出来たのか、色々背景を考えてみたがどうも思い付かない。苦し紛れに「動作」「行動」に焦点を当て考えてみたところ、弁当争奪戦という舞台を念頭に置くと、食欲という前提があるため、そこから小梅の行動も踏まえると「欲望・直感・本能」というキーワードが頭の中に並んだ。


つまりはベン・トー自体が「欲望・直感・本能」に従順な作品なのであると仮定することができる。主人公の佐藤洋を初め狼たちは闘争本能と食欲を持っており、また小梅は純粋な暴力と性欲を持っている。意図してやったのでは無いにせよ、ここに少し歪な対比関係が見いだせる。つまり彼らの行動=ベン・トーのテーマであろう「欲望・直感・本能」があるが故、小梅の行動も、ベン・トーという作中内であればある種当然の行動ではある。


しかしながら、テーマからそのキャラクターの行動を肯定するか? と問われれば私はそうではない。言わばテーマがどうであれ視聴者がどう思うかは全くの別問題だといえる。私から言わせてもらえれば、小梅に踏まれている佐藤洋を見て喜ぶか、小梅に中指を突き立てるかは、それぞれ個人の自由だろう。ちなみに私は後者だ。