DOG DAYSを別の角度から捉える為の、私なりの3つの視点

第一印象は「まさかラスボス戦的なイベントを10話目において、かつ1話で消化しきるとは……流石だ」って感じでしたね。とにかく展開が早い。そして見た人の意見が真っ二つに分かれる作品でもあったと思います。具体的にどう分かれたのかというと、今回の展開に「納得できた」か「納得できなかった」か、というモノだったような。「納得できた」か「納得できなかった」はさておいて、私なりにDOG DAYSを別の角度から捉えてみると、上記の現象に関して少し分かったような気がします。


しかし私の感覚では、まだハッキリと作品を理解できてはいないんですが、今のところ「Angel Beats!」と、ニャルアニ等の「ショート系アニメ」の特徴に近いのに加えて、ジュブナイル的な「行きて帰りし物語」かなー? と思った訳です。


以下お品書き

  1. Angel Beats!」の類似点:ゲーム的指向と、予測が付かない展開
  2. 「ショート系アニメ」との類似性:予備動作の省略と唐突感
  3. DOG DAYSは「行きて帰りし物語」である

Angel Beats!」の類似点:ゲーム的指向と、予測が付かない展開

Angel Beats!』における、3つのふしぎな構造 で挙げた3つの構造の内、ABに似ている要素は黒太字で表した、1と3の要素が大きいのだと思う。

  1. プロットを破壊する程のキャラクターの行動≒勢いを生み出す構造
  2. メタな笑い≒開き直りの力
  3. オープンワールド的な世界≒闇鍋みたいにカオスな世界


Angel Beats!』における、3つのふしぎな構造
http://d.hatena.ne.jp/str017/20100616/p1

オープンワールド的な展開はいうまでもなく、あのまま戦国無双戦国BASARAなりネトゲなりのゲームが現実にも存在しそうな点。シンクやエクレの必殺技なんかまんま無双技だし、名前ありとモブのキャラデザがハッキリ分かれてるのもゲーム的だし、そもそも彼らがやってること自体がゲームだしな!


しかしながらもうひとつの勢いを生み出す構造に関しては、流石に「プロットを破壊する」というほど強度が強いモノではなく、むしろ「プロットの並び方が良く分からない」に近いモノだと思う。例えば10話目でラスボス戦をやったりとか、5話のトルネイダー滑走と姫様のライブは「あれ以上の物語の締め方が出来るのか!?」と不安になるほど、一区切りつけるのに丁度良い話だったし、とにかく作品の展開の「順番」がちょっと読めない作品だった。まぁ、ラスト付近は流石にシンクが日本に帰って終わりだとは思うけど……


「ショート系アニメ」との類似性:予備動作の省略と唐突感

次に、ニャルアニを例には挙げた理由は以下の通り。

簡単に説明してしまえば、前提条件(=予備動作)さえある程度飲み込んでさえいれば(≒オタク知識がそれなりにあれば)設定説明や段取りやプロットみたいな組み立ても全部いらんのですよ、と。削り削ればブラックロックシューターや、放課後のプレアデスみたいなのが出来るんだろうけど、そこから更に極限まで削ったのがニャルアニなのでしょう


「段取り」と「物語構造」とニャルアニ
http://d.hatena.ne.jp/str017/20110208/p1

まあむしろ、ブラックロックシューターや、放課後のプレアデスみたいな系統に近いような気がする。DOG DAYSの場合は、上記で挙げた作品に比べて極限まで予備動作の省略してる訳では無く、むしろまだ丁寧に伏線を張っている。


ただDOG DAYSがやってる「省略」に関しては少々面白く、からBの動作をする際にあたって、予備動作(予備描写)が省かれてる為、唐突に見えるのかなーと。具体例を挙げると、放課後のプレアデスでもすばるとあおいの仲直りについて展開がやや早く感じたのと同様な感じで、DOG DAYSでも「え、この人らスポーツで戦争してるの?」や「え、スポーツ戦争と魔獣との戦いのテンション違いすぎない?」って感じで唐突感が出たのだろう。


でもここで「いやでもDOG DAYSは1クールだから違わなくね?」って意見が出ると思う。さて、そこでタイトル復唱ですよ、DOG DAYS……ドッグデイズ……犬日々……犬達の日常……おっ、何か見えてきた気がしますね? そう、つまりはDOG DAYSフロニャルドの日常(それプラス、シンクの行って帰ってくる物語)がメインなのですよ!? つまりは話数単位での唐突感があっても、それはトータルで見ればフロニャルドの日常を描いた作品だから、すべては日常に回帰するのです!! って、流石にこれは無理がありすぎるか……w


まあそもそも、DOG DAYSで小刻みで精密な段取りやられても、ウザいだけだろう……とは思う。理由としては、元々ファンシーなかわいらしいデザインを重視したイメージで作られてるのに、そこで重厚な段取りを練られても色々と困る。予備動作延々と描いてて見映えが無いって、DOG DAYSでそれは見たくないお……w


DOG DAYSは「行きて帰りし物語」である

しかし、ファンタジー系作品の類型が沢山あって、前例が沢山あるのに、何故に「行きて帰りし物語」についての指摘が挙がってこないのかが分からなかったので、書く。


行きて帰りし物語とは

ファンタジーの類型の一つ。物語中で登場人物が、異世界など、どこかへ行って、物語の最後で戻ってくる。『はてしない物語』などが代表。ファンタジーに限らず神話など物語そのものの原点とも呼べる安定した形式である。


行きて帰りし物語とは - はてなキーワード http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B9%D4%A4%AD%A4%C6%B5%A2%A4%EA%A4%B7%CA%AA%B8%EC

はい、これはシンクに関してとても良く当てはまりますね。シンクはアイアンアスレチックで敗北し、そのときから「日本じゃ狭くて動きたりない」と感じ(本当はもうちょっと複合的なのですが、一応端折ります)ていた際に、フロニャルドに召喚され、勇者として、そして少年から青年へと成長していく物語……と書けばとても分かり易いでしょう。で、そして最後には日本に帰る(欲を言えば次回のアイアンアスレチックで優勝する)という流れでしょう……って外れてたらごめんなさいね。


今回は練り込み不足と、覚えてない伏線があるためか、シンクに関してしっかりと語れないので、最終回が終わった辺りで語りたいと思いますが、今言える範囲ではDOG DAYSは素敵な物語だと思いますよ!




関連過去エントリ:
Angel Beats!』における、3つのふしぎな構造
http://d.hatena.ne.jp/str017/20100616/p1
『AngelBeats!』5話までのメモ
http://d.hatena.ne.jp/str017/20100505/p1

「段取り」と「物語構造」とニャルアニ
http://d.hatena.ne.jp/str017/20110208/p1
省略演出とその欠点についてのメモ
http://d.hatena.ne.jp/str017/20100717/p3
ブラック★ロックシューター
http://d.hatena.ne.jp/str017/20101212/p1
這いよる! ニャルアニ
http://d.hatena.ne.jp/str017/20101210/p1