青い花所感

とりあえず昨今の作品の傾向をみると、かなり貴重な作品であることは間違いない。

概要

2009年夏期にスタートした作品。ノイタミナではなく『NOISE』枠で放送された作品。ちなみに関西ではこれの代わりに『CANAAN』が放送されていました。私的には東京M8.0よかこっちをノイタミナとして流して欲しかったなーと。よって、生放送をまともに見られたのは、関東と衛星見れる環境のみでした。


評判はというと……【アニメブロガー合同企画】2009年アニメベスト/ワースト結果発表 - EPISODE ZEROを参照に、上記のような環境で放送された作品にも関わらず、14票で1位を獲得したという事実は、誠に驚くべき事態でしょう。つまりこのことから、アニメブロガーの評判は抜群に良い、という印象はありました。反面、人を選ぶ作品ではありましたので、拒絶反応を示すケースもあったことも忘れてはいけません。


各話簡易感想

1:開始して1分20秒でノックアウト、これは……ヤバイ。ふみちゃんが起きたあとに制服があるカットでやられた。冒頭のカップ持つシーンと、結婚するねーさんが手を置くところに繋がるのが面白い。
2:「うん…」の後にコップの氷が鳴る、ベタベタだけどいい演出。食事作画は絵面が映える為に使われるんだけど、心象表現で使われるのは結構珍しいような気が。
3:回想や木の陰など、撮影の人が倒れそうな演出が多すぎて吹いた。特に回想のフィルム風はやりすぎ(笑 あと作画監督の冨岡寛氏が手がける髪の毛の作画が良い。
4:色んな謎が提示し、綺麗にはまっていき、最後に図書館の君の正体が明かされる構成がお見事、脚本と絵コンテの連携が無ければここまで綺麗には決まらなかっただろう。
5:渦薪かい氏コンテ独特らしい画面分割ってこれか。あと「先輩は……あのこが好きなのね」のところの紅茶の水面がゆれるところが綺麗。
6:演出よりも『演劇』の暗喩が気になる次第。
7:所々、露光の使い方が露骨になったような気がする。あーちゃんの家、踏切は今までの「あさって、大正野球、青い花」ラインの感じなんだけど、車に乗ってるシーンとかは違和感あった。この回から少し雰囲気が変わる感じは、たぶんわざと。
8:イクミさんとふみちゃんが泣いてるあとに「恋は盲目」って8話タイトルが出てくるけど、これはちょっとやりすぎ(笑
9:あーちゃんが怖がるのを周囲が楽しんでる辺りが、どこか4コマ漫画系っぽい演出で面白い。
10:電車が走り出すとき、たぶん杉本先輩が同行するって伝えただろうシーンが割と業行しいけど、ふみちゃんの心の揺れ動きがハッキリと分かるシーンでもある。あと結婚式の音楽がながれてたあと「おめでとう」→Aパート終わりとか、今回割と仰々しい感じだった。
11:かなりの時間ジャンプしたけど、ここで「6ヶ月後」とかそいう野暮な演出をせずに、制服(=1話のふみちゃんのおろしたての制服と対比)で表すのは綺麗。杉本先輩の留学が告げられるシーンと、その後の電車のシーンを組み合わせて考えると、ひとりで電車に乗った杉本先輩の別離を予感させる。一方かなり過度にあーちゃんとは電車内でべたつくシーンが描かれたことを考えると、それぞれの未来を暗喩してるのだろう。


詳述

■『記述型』の物語
この作品は、ある種行間が重要視される『記述型』の物語で、それの対が『プロット型』だと思う。緻密に設計された『アーキテクチャ指向』があるような物語ではなく、むしろ奔放的な物語の方がそれに近い。


本編6話において、『嵐が丘』のキャサリンが葛藤する様を、あきらの兄である忍が「身勝手な女」とつっこんだシーンがある。このように冷静につっこめる感覚は、忍のつっこみが本編でも疎まれるように、この物語では不要であろうといえる。


結び

これがJ.C.Staffの実力だというのか!?