シュガーダーク 埋められた闇と少女

本編の感想を少しずつ挙げていくと、まず主人公に対し「重し」(行動制限、行動動機等になる為のモノ)を付ける為に、墓場に引っ張られてこられるというシーンがある。だが、どうもあの辺りの文体と主人公の心理描写がぎこちない。主人公のムオルは、理不尽な目にあってもどこか平然としていたり、ムオル視点の主観語りの作品なのに感情の起伏が読みづらかったりする。まあ、これは単に技量的な部分なので仕方がないのかもしれない。


次にヒロインであるメリアについて、彼女がシュガーダークの真骨頂だとゆっても過言ではない。黒い果実食べてるシーンや、水浴びをしてるシーン(全裸の挿絵付き)等、普通のエロいシーンだと思わせながらも実際のところ「闇」はザ・ダークを食らい不死身の体になっているという部分であり、同時にそこは他人に見られたくない負い目でもある。(見られると普通の感覚ならばザ・ダークと同等扱いになる為)


見られたくない部分を描いており、極めつけが、その闇の正体が露見した後のメリアがムオルにリンゴを差し出して「ある返事」をするシーンが非常に印象的だった。いうならば、ムオルの視点からメリアの見られたくない部分を見ることにより、彼女の秘密を知り、またその負い目を飲み込むことによりメリアを肯定する。


メリアは秘密を見られた後の日にリンゴを差し出し「ある返事」を表明する。これに加え前記の黒い果実食べてるシーンとの対比性を考えると、リンゴ=心、あるいはそれとは別の同列の何か、という比喩がだと捉えることができる。それに対しムオルはここまでタラシこんでおいて「後で篭絡する」とか曰っていたりする。いや君、フラグ全部立ってるから!! あとは個別ルート入るだけだから!!11 あとメリアがヤンデレ化するかと思ったらしなかった、その点はとても残念だな!!(何


つまりは見られたくない部分が常に何だかのアンモラルな魅力が内在しているところだ。この関係性から、アンモラルさに触れないシュガーダーク論は見せかけのシュガーダーク論だと私は思ってる。いや、思ってるだけだけど!


と、まあここまで盛り上げておいておいてこの作品、実は非常ににオチが弱い。カラスの正体、主人公の妙な正義感、どこかにいったまま放置された犬くんと、オチが非常にとってつけた感が満載で、ダメとは言わないけど、非常にがっくりとくるオチだった。そこから上記のようなアンモラルなエロさと反比例するオチを踏まえて考えると、内容はかなりアンモラルな癖して、行き着く先がボーイミーツガールとかなり歪んでいる、そしてその姿に作品自体がどこか無自覚な印象をもった。


おまけ:最後のページをよくよくみると、実は選考委員の中に竹Pこと竹田青滋氏がいたりする。これに加え、基本会話が 1対1という何処かで見たような方式、ここから出す答えはもちろん「アニメ化前提の大賞」と考えてしまっても過言ではないと思う。ごくごく一部で「作られた大賞」というイメージを持っていた人がいたが、設定+ビジュアルイメージ+ヒロインのメリアのセットで見れば、主人公やカラスの微妙さを払拭できるほど、アニメとしての絵が出来ているからだ、と邪推してみたりする。


※この記事ははてなハイクに投稿した内容を再編集したものです、つまり手抜き更新。