とある科学の超電磁砲 第5話

今回はコミックス3巻の過去話を元にして再構成したお話、確かにコミックス3巻のお話群をここに持ってくる事によって、コミックス版未見でも楽しめるように配慮されてる感じがします。今回は黒子と初春の過去にあったお話を、黒子と初春の絆として再構成している感じが致します。また似たような出来事を反復することによって、物語の理解を助けている補助効果もあったりします。

レベル5への差別意識と、御坂美琴

まず黒子が佐天さんと似たような感じで「レベル5」に差別意識があった事が示される。この先入観の元になるモデルケース*1と落伍者(レベル0等で落ちぶれた不良達等)は対比になっていること、そして美琴自身はそのモデルケースとは全く違う人間であることが1話と同じように示される。御坂美琴という人物の物語上における特徴としてはid:episode_zeroさんが詳しく書かれているので、以下引用。

また、自販機に蹴りを入れてジュースをパクったり、市内でむやみに電撃を使って停電を引き起こしたり、周囲の被害も考えずに超電磁砲をぶっ放したりする彼女は明らかに都市の逸脱者(不良?)である。このような人物が主人公を務めることによって、物語は公安VS犯罪者という単純な構図ではなくて、逸脱者VS逸脱者というアウトサイダー同士の争いという側面を帯びる。


(中略)彼女は使命感や責任感によって行動するのではなくて、あくまで個人の自由意志によって行動する。彼女が黒子たちに協力する場合の動機は治安維持という体制側の名目のためではなく、もっと単純に友達を守ったり、あるいは友達の借りを返したりするといった個人的な理由のためである。


透明人間と管理社会―『とある科学の超電磁砲』第3話が面白い - EPISODE ZERO
http://d.hatena.ne.jp/episode_zero/20091023/p1

また同じ逸脱者として、上条当麻の名前が挙げるべきなんだろうけど、後に出てくるであろう「決定的な描写」がまだ出てきてないので、ここは保留で。

反復と再構成

今回の事件においても1話と同じように銀行強盗が登場したり、それを同じように美琴が助太刀することにより事件が解決したりと似たような要素が反復されて表現されてます。ただ現在までに、置いて作中における「敵」の行動原理の掘り下げが甘い*2為、彼らには物語を動かす為の都合の良い装置以上の役割を与えられていない……といった批判は出そうだけど。しかし、回想時の事件や黒子の回想を聞かされた事といい御坂美琴は物語の中心にいる*3人物であります、まー主人公だから当然ですが。


また今回の話において再構成されたのは、上記であげた黒子が過去の事件を美琴に喋ったり、発端が黒子と初春の仲違いが原因になってたりと、絶妙に再構成されています。ラストシーンの犯人を捕まえに行くシーンはほぼ同じなので、発端を変える事によりそのシーンの意味が強められています。またこの再構成から初春には頑固な一面、黒子には勇敢だが未熟な一面が加えられており、興味深い変化かと。

しかしそうすると、コミックス2巻目にあった「あの話」やコミックス3巻にあった「あの話」はどう変えてくるんだろう……2巻目のは黒子が、3巻目は初春が活躍する話なだけに、今回の事件と密接に関わってきそうです。

そういえば気になったこと

美琴と初春が、黒子と佐天さんが互いに会話するシーンってそうそう少ないような……何でだろう。

*1:ただし、これは飽くまで黒子や佐天さんの想像の範囲内でしかない

*2:3話の眉毛少女も動機としてちょっと甘い

*3:しかし、現在の所上条当麻が絡まないと(自分自身が積極的に関わることが無いと)御坂美琴の心情描写が無いのも事実ですが!!!