DTB流星の双子OP語り「光り輝く蘇芳と黒より暗い黒」

本編についてはもうちょっとゆっくり考える時間が欲しいので、OPについて分析して色々書いてみた。
 
今回OPテーマに使われたステレオポニーの曲自体が「ツキアカリの〜」からはじまってある程度歌詞と本編の互換性が高い事から、今回のOPもある程度本編を意識して書かれた歌詞なのかもしれない。「黒の契約者」のOPであるHowringもそうだったしね。え、最後のガラスをぶち破れ? それは対価さ… や、あのOP嫌いじゃないしむしろ好きだけど。
 
ざっくりとしたOPの流れとしては、朝から夜へと時間が流れていき、学校と思わしき建物で目を醒ました蘇芳が、ロシアの街を右往左往し列車に乗り目的地へと向かうという動的な流れから、そこに様々な人物を挟み明るい過去(海水浴のシーン)と暗い現在(ロングライフルをもった蘇芳が何処かへ去るシーン)を対比させたような静的な流れを醸しだし、「黒の契約者」のOPでもあった黒が廃墟を歩くシーン(ただしかなり元のよりもニュアンスが違う、理由は後述)を経て、最後は蘇芳がロングライフルを構え発射する。だいたいこんな感じ。
 
まず最初のロシアの街を右往左往のシーンから見ていくと、最初は丸まって寝ていたり列車内で頬杖をつきながら食事をしていたりと、どこか感傷的にすら思える様子に見える。だが、その後のロシアの街を右往左往した後、橋の上を力強く歩き列車に飛び乗る辺り、蘇芳のこれから至るであろう心の変化が描かれ、この前半の流れから蘇芳のキャラ付けが上手く行っている。
 
そして列車から見た線路はセピア調に描かれている事から、何だかの過去が関わっている事が示され、その先に紫苑のアップが描かれる辺り蘇芳が紫苑を探そうとしている事がわかる。また副次的効果かもしれないけど、契約者達が次々に描かれるシーンから「これからの試練の日々」を思わせる。まあ途中で黒の関係者に差し変わるのであまりそいう意味は無いかもしれないけど。
 
蘇芳が居ない明るい海水浴シーンの後のカットで、夕焼けに近い夜空を背景にロングライフルを持った蘇芳が左に、真横を向いていた顔をカメラから逸らすように歩くその姿は、決意と覚悟の意味が含まれていると共に、仲間からの別れと感傷を抱いて「ここから去る」という表現にみえる。
 
その後の「黒の契約者」にて黒が廃墟を歩いてるシーンと似た、しかし同じ構図でも反対方向である奥の方へと歩いていく姿から、黒が何処かに行ってしまう事をも予感させる。そしてその横にはアンバーを思わせる幻は、もうない。
 
このOPを全体的に見て思ったのは、「流星の双子」における蘇芳の役割が、その限りなく黒より暗いDTBの世界で強く光り輝く存在に見えたこと。もちろん対比になるのは「黒の契約者」の黒である。蘇芳の輝きがより強くなると、その分黒の影が強くなる。
 
そして結論としては、やっぱりどうも蘇芳が主人公なのだろう。黒は前作の主人公というよりかは、「黒の契約者」の忘れ形見という感じがする。こうも紫苑の物語を重視されると、黒の物語は完全に終わってしまった感じを抱き、センチメンタリズムにも似たような感傷をおぼえてしまう。