うみものがたり〜あなたがいてくれたコト〜 第9話

やはり今回のお話がある種の転換点になった、そして物語のテーゼがハッキリと示された回でもあるといえる。カメが解決できない問題を小島君と歌が解決してしまったのはびっくりだけど、じゃあくじゃあくとただ見て見ぬふりをするような二項対立のような関係に終わるのではなく、そこから前進しその両義性、例えばマリンが夏音に光を照らせばウリンに影が生まれたり、の言及にまで至ったのは個人的に良かった。
 
まず大島に関して焦点を当ててみると、幼稚園の頃から夏音と因縁……というか敵対心を抱いていて、それに加えて相反する感情である興味と羨望と、そしてその結果現在に至るまでの嫉妬心へと転化していったのだと思われる。
 
羨望と嫉妬について具体的に挙げれば、図書館での「あんな告白されてみたい」という言葉がそれに当たり、それに加え夏音からも小島君からも聞こえないところから発言していた辺りから、素直な彼女の気持ちが発露されたのだろうと推測できる。
 
つぎに劇中の歌と小島君について、劇中で小島君が解説した歌の意味は以下の通り

「たくさんの別れや悲しみを乗り越えてきた島の人達の心が歌われている」「日の光を指せば、あなたの後に影が生まれる」「光にほほえむ表情もあれば、深い影には悲しみも宿る」「あの日影が消えて、あなたの影が消え、私はひとりぼっち」「分つのは、誰のせい?」
 
「海と空はゆらぎながらふれあい、分つことはできない」「いつかきっと、その日は巡ってくる」「一緒にいるから」「風と波と雲と木が、ふたりをつないでくれたら……必ずまた、貴方の溢れんばかりの笑顔を貰える日が来る」

この歌によって今まで言及化されてなかった関係性や属性が一気に明言される。光そのものがマリンであったとするならば、分つ原因になったのもマリンである。そんな島の人達の心を歌ったこの歌こそ、物語のテーゼである事はほぼ間違いないだろう。そんな小島君の気持ちの種明かしもセット(といっても、こっちはだいぶ前から夏音の勘違いであることは簡単に推測が可能だったケド)で持ってくるのだから、何とも心強い。まぁそんな彼も最後の方に何故かセドナ達によって縛りプレイに遭ってたけど(笑
 
そして歌を介して、夏音は自分の光の面=本当の自分の気持ちに、マリンは自分の影の面=ウリンと仲違いする原因になったのは自分のせい、をそれぞれ認識し、そして乗り越えた。でもその余韻をセドナと小島君の縛りプレイのせいで台無しに!!