あずにゃん問題なんて、ほんとはなかった

私も「あずにゃん問題」に関しては、けいおん!を見てる際にいちばんモヤモヤしてた部分なので、いずれかはこうやってちゃんと記事にしてまとめたい。そんな風に思ってたのですが、色々あって私なりの「あずにゃん問題」への回答について、ようやくまとめる事が出来ました。

まず「あずにゃん問題」とは何か?

まず「あずにゃん問題」にの説明については、以下「あずにゃん問題」の提言者の方の発言を引用します。

彼女は、すでにかなりの実力もあるようだし、最終話?というか、最後のおまけで彼女の部屋の中は、まさにJAZZ一色で、かなり音楽に入れ込んでいることがわかる。それほどの思いを抱えて生きているのならば、やっぱり「音楽を目標」にレベルを追求することを、もう少しやってもいいのではないか?って思うんだよ。そもそも、そういうレベルが上昇することに強い意欲を持っているのは、見ていて丸わかりだからね。それが、ゆるーい仲間意識に回収されていくのは、見ていてつらい。
 
あずにゃん問題(笑)〜日常をたゆたい「いまこの時の幸せをかみしめる」か、それとも志と夢を持ってつらく茨の道をかけのぼるか? - 物語三昧〜できればより深く物語を楽しむために
http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20090628/p1

上記引用とは別の部分ではありますが、「勝つことが重要!」と「仲よくすることによる思い出が重要」という二者択一の選択があずにゃんに与えられた選択でございました。個人間ではどちらを選ぶかは人の価値観によって違うでしょうが、ではあずにゃんの立場になって考えると、あずにゃんが何故「仲良くすることの思い出」の方を選択したかを、そしてそこからあずにゃん問題を考えたいと思います。

より上のステージを目指す事について

そもそも、もともと志や目的がなかった他の4人は、たしかにこの「仲良し空間」でいろいろ得るものがあると思う。けど、あずにゃんは、そもそもレベルも動機もあるわけだから、本当は、「より上のステージ」を目指している仲間と、「仲良し空間」がある場所を探せなかったことが、問題点であって、何もこの部に入らなくても・・・と思ってしまうのだ。

まずはここから。ふと思ったのは9話でのあずにゃんの選択と、紬について。
 
9話にてけいおん部を選択した理由に関しては、あずにゃんが本能的にけいおん部を必要だと感じたのと、もう一つはレベルの高いJAZZの演奏を見ても心惹かれることが無かったことが原因です。理由はともあれ「仲良し空間」の方が必要だと直感的に感じたのでしょう。
 
また、もしけいおん部を蹴って「より上のステージ」を目指した場合でも、果たして成功するかといえば、それは難しいと言わざるを得ない。あえて理由をあげるとすれば、彼女が「より上のステージ」を目指せるほど精神的に強靱か? と問われれば実はそうでもない。それが一番出ていたのが番外編だと思います。番外編では子猫を預かった際に何もできずあたふたしていた、ここからもそう考えるに至る十分な場面だったと思います。そんなあずにゃんが「より上のステージ」を目指した場合、成功する確率は高いかというと……残念ながら非常に難しいです。
 
つぎに紬について、彼女もある意味であずにゃんと同じ立場だったかと。以下Wikipediaより引用。

当初は合唱部に入るつもりだったが、澪と律の勧誘もあって軽音楽部に入部した。4歳の頃からピアノを習っていてコンクールでの受賞歴もあり、キーボードは上手である。部室にティーセットとお菓子を持ちこみ、部員や来客に振る舞っている。
 
けいおん! - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/けいおん!

これを踏まえると、紬が何故最初からけいおん部に入部したかを考えると面白いかもしれません。ただ紬に関しては描写が少なすぎるのでなんともいえないのですが、ここはid:karimikarimi氏の記事を使って分析してみましょう。

紬が高価なギターを値切るというシーンは、原作でも存在するシーンだ。原作との違いは、紬が嬉しそうに値切っているという点だ。原作では、アルバイトのシーンも無く、初めて店を訪れた時にサラリと値切る。
 
もうお分かりだと思うが、先の「ポテトを混ぜる」シーンはこの「値切り」のシーンの為に設けられている物である。ここで紬は、ドラムを値切った律の真似をしているのだ。このことは、顔を赤らめ、楽しそうに値切っていることから想像に難くない。「やったことがなかったから、やってみて嬉しい」のだ。
 
けいおん! ポテトと値切りのくだりの解説 吉田玲子の本領発揮 - karimikarimi
http://d.hatena.ne.jp/karimikarimi/20090417/1239895361
※強調文は引用元に基準。

そう、ここから簡単に答えが出せそう。(というか、あずにゃん問題の結論はこれかもしれない…)つまりは単純に「やってて楽しい」から。それに紬はけいおん部の中でも実はかなりアクティブで、番外編ではハンバーガー屋のバイトまでやっている、って何気に1話と繋がってる!? 京アニ恐るべし、吉田礼子さん恐るべし。ここまで出来るのに何でムント様(以下略

あずにゃんが求める幸せとは?

それを考えるには、梓と両義的な存在である唯の分析も欠かせないと思います。以下過去記事から。

軽音部という枠組みに守られている間は、少なくとも「今は」旅立つときではない。この唯の行動は未来への可能性を否定しかねないという実に危険な選択なのかもしれないが、流石に未来までは否定しないだろう。そういう意味では彼女達はまだ帰る場所があるのだ。でもテーマが分かりやすくなるとはいえ、唯の「わたしを置いて先に大人にならないでよ?」という台詞は流石にやりすぎだと思うけど(笑
  
けいおん! 第13話(番外編) - 流し斬りが完全に入ったのに
http://d.hatena.ne.jp/str017/20090703/p1

唯はけいおん部をまとめる存在で、同時に安息の場所である。またもや過去記事から。

そして唯に抱きしめられる際、梓はちょっと笑ってました。アップの際ではハッキリと笑っていたのですが、アップになる前のシーンで、梓がこちら側から左に向くシーンの中で、ちょっと笑ってる中割りがあったような……ここは未確認なので分かりませんが、もし笑っていたとしたら、抱きしめられてつい出た笑顔なのかと。
 
けいおん! 第12話(最終回) 「軽音!」 - 流し斬りが完全に入ったのに
http://d.hatena.ne.jp/str017/20090626/p3

このように、あずにゃんにとっての唯はある意味で救いの存在になっていたと思われる。そういう意味で脆いあずにゃんを救うという意味で、幸せの場所は唯やけいおん部のいる場所なのかもしれない。この件に関してはすいしょさん(id:swishou )の記事が深く読み込んであるので以下引用します。

そんな唯は、当然梓をも救う。間抜けで仕方がないようなメールを送信した唯にすがる事が出来た梓が、困っているんです、でもどうしようもないんです、助けてくれる人がいないんです。どうしていいのかわかりません、ふざけないでください。ああ、全部吐き出しちゃったよ、あずにゃん。そしたら唯は真剣な声で、梓を気遣うんです
 
梓は唯に包まれて、いつまでもあったか。 - suicide shot
http://d.hatena.ne.jp/swishou/20090702/p1

まだ守られている、まだけいおん部という枠組みに守られている、まだ唯に守られている。唯の「わたしを置いて先に大人にならないでよ?」という台詞は置いていかないでよという台詞と共に、あずにゃんが置いていく←→逆に置いていかれるという両義的な意味になっているのかもしれません。彼女達は、この世界で、肯定される。
 
最後に、この件に関してそっと助言をくれたかずさんのTwitterでのひとことでしめましょう。

親がジャズバンドをやっていたからギターを始めたあずにゃんは、親のようになりたかったんじゃないのかな。親が楽しそうにギターを弾いていたから、自分が楽しく弾ける場所、みんな仲良しな場所でギターを弾くことを選んだんじゃないかな、なんて考えてる。あずにゃん問題なんてほんとはないと思う。
 
http://favotter.matope.com/status.php?id=2546352710