その絶妙なバランスを、本当に保つことが出来るのか?

基本この記事はレスポンスに対するお返事がメインとなります。あんま目新しいことは書いてません、たぶん。

前置きに換えて、前回の補足

前回書いた「原作通り」「バイトして入手」「バイトしてから原作通り」に関して、他の記事でも指摘されているとは思うけど、これには何気に「物語の性質」としての分岐点が存在してたりする。おさらいとして、ここでどういう「物語の性質」の選択が取られたのか、洗い出してみたいので、3つの言葉を「物語の性質」として、ざっと言い換えてみると……

「原作通り」→「非・物語」的
「バイトして入手」→「物語」的
「バイトしてから原作通り」→「非・物語」と「物語」の両立

最後の両立については後で言及するけど、言い換えればこうなる。この「非・物語」的という言葉の意味は上の記事でも引用した通り。詳しい定義は昨日の記事を読んでちょ。(手抜き)
 
ここで、アニメ『けいおん!』が選んだ選択の中では「原作通り」→「非・物語」的な選択だけは確実に除外された訳だ。理由としては2話目でここまで話の流れを変えておいて後はそのまんま原作通り、となるのは正直考えにくいからだ。加えて言うならば、確かに見た目は「ひだまり」や「らきすた」と同性質に見える。しかし、、つけ加えられた部分を追っていけば、非物語性が高いという言葉では言い表せない部分が存在すると言える。

本題に入る前の補足

実はこの「非・物語」と「物語」の対比は、過去の議論にあった「深夜アニメ的正しさ」と「冲方丁的正しさ」の議論に似通っている部分があったりする。詳しくは海燕さんの所で詳しく書かれてます、っていうか私も読みかさなねばならん(汗
 「深夜アニメ的正しさ」は深夜アニメ的に正しいか? - Something Orange

ここに来てようやく本題

そして、その事に対して私は「バイトとオチがかみ合ってない事は、上記の事と比べるとまだ些細な問題だともいえる。この辺京アニ、というか吉田玲子さんと山田尚子さんの絶妙なバランス感覚が持ちえる技だろう、と推測する。」と言った。
 
それに対し、以下のような意見が。

str017氏はこれを絶妙な感覚と表現したが、俺は少し言い方を変えようと思う。
 
これは明らかに八方美人的な造りなのである。
 
アニメ『けいおん!』の唯がお馬鹿になった理由 - かわりな色
http://d.hatena.ne.jp/hapze-23_45/20090419/p5
※強調文は引用元に基準。

うん、ぶっちゃけて言おう。その意見、正しいと思う。けど、私が言った「絶妙なバランス感覚」も否定するつもりはない。理由としてはたぶんこういうことだろう。

(作劇寄りな意味で)これは明らかに八方美人的な造りなのである。
(商業寄りな意味で)絶妙なバランス感覚が持ちえる技だろう。

私の意見の方に関しては、過去に私が書いたエントリを見ればだいたい分かります。→アニメは工業製品です - 流し斬りが完全に入ったのに ただし、今現在ではここまで極端な考え方はしていない事も付け加えておきます。しかし何でこんな過激な事を書いたのだろうか、謎。あと、流石にムント様みたいに商業的な面を度外視した展開はそう出来ないだろう、という前提もあったり。

しかし、本当に今のままなのだろうか?

では作劇的な意味ではどうか考えると、これはこれからの展開を見てみないと分からない。ここで前回の記事の締めの文を持ってこよう。

どう押し進めたいかの意図がまだ見えてこないが、少なくとも物語的な正しさを重視している為、原作の展開が変わる可能性は十分秘めているだろう。

彼女達のサクセスストーリーが進むにつれ、物語的な強度は増していく事は予想できる。その場合果たして本当に今のままの状態、つまりは現在の温い状態が意地できるだろうか? というかですね、そもそも何故原作では「ゆるーいけいおんライフ」がアニメでは「バリバリプロ目指すぜ!」みたいになってるんでしょうかねー? この辺一番謎なのですが、まあこの辺は別にいいや。問題は本来水と油な要素である「物語」的な要素と「非・物語」的な要素を最後まで意地するつもりなのか? もしするならば、それは本当に実現可能なのか? という問題が浮かび上がってくる。正直、残念ながら現時点ではどうなるかは予想できないのが結論。
 
あ、もちろん「物語」的な要素が先行するならば、id:n_euler666氏が予想しておられる展開そのまんまになると思います、ハイ。

予想1:まぁ大方の予想通り4人が喧嘩する展開になる.
(原作にそんな展開はないですが,基本的に「人と人が理解し合うためには>喧嘩(殴り合い)しなければならない」みたいな展開多いですからね,花田十輝<先生は)
 
予想2:上述した唯と紬の対比が噴出する
「私,むぎちゃんとは違うもん!!」みたいな台詞を唯が吐く.
 
唯・律・澪の三人が何かが原因で喧嘩して,紬が唯を宥めに行ったときに,唯が「むぎちゃんには,わたしの気持ち…わかるわけない!!」って捨て台詞を吐いて走り去るって展開になる.
 
けいおん!(アニメ)は原作とテーマが違ってきているって話と花田十輝 - WebLab.ota
http://d.hatena.ne.jp/n_euler666/20090417/1239972548
※強調文は引用元に基準。

しかし、この展開になったら(特に商業的に)誰特状態だなぁ……(汗