この広い世界にふたりぼっち
- 作者: 葉村哲,七草
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2008/08
- メディア: 文庫
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この作品は白狼のシロこと月食いが人間である咲希に婚姻を申し込むというぶっ飛んだ始まり方をするが、のちに続く展開も色々ぶっ飛んでてスゴイ。北欧神話ベースなのは確実だが、舞台は現代で内容は異能バトルという内容。
主人公に関しては、白狼のシロは婚姻相手なのに物語前半でしか絡んでこなかったりする辺りこの作品の主人公が咲希なのだろうと推測できる。人物関係は咲希を主軸に、咲希を気にかける転校生の椎名司、咲希を付け狙う青虫(本名不明)この二人は対比的な関係になっていて、他にも咲希と両親と対比する形で、コウとゆうかとゆうか母、シロと「森の王」と人物関係が配置されている。そして基本咲希の味方はシロしかいないという仕様がすげぇ。
この作品に関して好き嫌いな理由が別れる理由を自分なりに推測してみたところ、ひとつは要素要素がバラバラすぎて整合性が無いような感じになってる点、そしてもう一つは咲希の立ち位置がある種のアンチヒーローな面があるからだろう。しかし咲希からは葛藤の様子が見えない為どうしてもおかしな感じをぬぐえない。
ここで気になったのがバンダナ男が言った
「たとえばさあ、僕が一番世界で一番強いナイスガイだったとする」(中略)「だからって、目の前で泣いてる子どもを泣き止ませるとは限らない、それが現実」(P198)
に対し、物語終盤で咲希が出した答えらしき言葉が
「結局、自分の問題は自分でどうにかするしかないんです」(P253)
と述べた事がこの作品に内在するテーマなのかも、そんな風に思ったり。
追記:
というかあとがき見たら作者がテーマ語りしてたという罠がっ、昔「作者はテーマ語りしちゃらめぇ」みたいな暗黙の了解があったと記憶してるが、良いのかこれ?あとこれ読んだ後、もしこの作品に上条さんが出てきたら「諦めんな!」とか「みんなハッピーになれる結論考えようぜ!」とか「誰かが犠牲になる終わり方なんてハッピーエンドじゃねぇ!」とか言うんだろうナーとかいう想像をしてしまった、色々と末期だ私は(汗