ブラック★ロックシューター

この作品は、脚本を極限まで削ってて、これまでのコードギアスやABみたいな省略演出と、「日常系の文法」を混ぜ合わせたような作品になってますね。「日常系の文法」は主に仕草、視線、表情あたりである「外面の要素」の中にある要素を指してます。ならばどう削ってどう掛け合わせてるのかが気になるところ。


まず省略演出に関しては、過去に書いたこれから

例えばシークエンス単位では主人公と仲間が仲違いしてたのに、すぐ仲直りしたりとか。シーン単位ではA→B→Cという動作を行う際にBを省いたりするとか。つまり省略することによって、出来るだけたくさんのお話を限られた話数の中に込めることができる。


省略演出とその欠点についてのメモ - 流し斬りが完全に入ったのに
http://d.hatena.ne.jp/str017/20100717/p3

この作品において、省略されてるBにあたるのは、説明台詞ふくむ「不必要な台詞」全般だろう。これをほぼすべて削り、ほぼ必要最低限の台詞のみで作品を構成している。で、それを補うのが「日常系の文法」(≒「外面の要素」)で、内面および設定説明には一切触れないように、かつ誰にでも理解出来るように作られていた、これはスゴイ。


また、正直な話、こないだ書いた「アニメにおいて登場人物の内面 http://d.hatena.ne.jp/str017/20101210/p2」のアンサーになる作品が、こんなにもすぐに見つかるとは思いもしなかった。後半はヨミの視点から描かれているが、そのシーンにおいて内面は一切発露されない! 語らずとも伝える、内面を書くより、内面を外面から合わせ鏡のようにして描く、これ以上の答えがあるだろうか!!




個人的には、黒衣マトとブラックロックシューターの出会いを最後に持ってきた辺りが、かなり鳥肌モノでしたが、このシーンを最後に持ってきた理由は2つ考えられます。一つは、既存の作品によくある「外面的快楽」を、「日常系の文法」でつなぎ合わせ、それに加えて場面構成を弄くって省略する。もう一つは、このシーンをデッドマスターとの決着の後に持ってくることで、「ここから始まる」という感覚をわき出させることができるから。正直、めちゃめちゃ気持ちよかった。


反面「設定が分からない」や「戦闘シーンと日常シーンの乖離が激しい」や「そもそもこれどうなってるの?」という疑問が噴出してしまうという問題点もあったりする。でも40分ちょいであの内容に纏めるにはこうするしか無く、かつスタイリッシュに見せるには、ある程度視聴者の暗黙の了解は必要な訳で、今後の課題はこの「設定が分からない」に関してどうするのかが鍵になってくるだろうとは思う。


追記:
テンション上がりすぎて、舞い上がって説明不足すぎる記事を上げてしまった… 機会があればちゃんとしたの書きますw