けいおん!!第22話 これまでの『関係性』からみる『あずにゃん問題』

梓4部作(勝手に命名、他は5話、13話、16話と今22話の計4話)最後の1話になるだけあって、挙げるポイントがやたら多くて、項目を絞り込むのにすら苦労しました……という割には、一番ピリッとしないエントリになったような気がする。


以下、例のごとくお品書き

  1. 梓と純の関係性が変化したこと
  2. 学年の違いから生じる4-1の接続性の無さに関する構造
  3. →環境の変化による構造の打破の可能性
  4. 見えてきた『問題』の解決法、「時間による解決」か、「決断による解決」か?


1.梓と純の関係性が変化したこと

まずはここから……梓と純がスリッパを違いに同じのを履く部分は、純と梓の距離の縮まりを表しているのだろう。その純と梓の距離が狭まったのは、恐らくは放課後ティータイムの影響だろう。放課後ティータイムの影響力の描写といえば、20話のライブが特に目立つが、最も強い影響を受けたのは、案外、純なのかもしれない。


純は、まず5話において、ジャズ研の先輩からメールが来ない反面、返信だらけの梓を見てゴロゴロアタックをしかけた。次に13話において、放課後ティータイムの面子と一緒にかき氷を食べた後、唯達とはぐれた梓と合流し、条件付きで入部の約束をした。16話で梓が(唯達の影響で)変わったことを肯定的に捉えていた。


そうなると、ピリッとしなかった5話の描写に比べると、実に対照的ともいえるほどに、22話のチョコ作りは上手く行っていると思う。特にスリッパの描写辺りは顕著だと思う。



2.学年の違いから生じる4-1の接続性の無さに関する構造

ふとかいんさんの記事 My Azunyan is not lonesome. - GAV の追記から、面白い指摘があったので引用してみる。

かいんさんのブログ面白かった。というか、書くのはえw ちょっと異論があるとすれば、HTTが続くとしても、4+1のあずにゃん搾取構造は続くのではないか、ということです。あずにゃん含め、HTTが真に5になりうるかどうかがポイントだと思います。

http://twitter.com/cineeye/status/23157560861

正直、「あずにゃん搾取構造」は考えもしなかった…w


しかしながら、私は「搾取構造」というよりかは、むしろ4←→1の(どうしようも無いほどの)関係性における接続性の無さ、という表現の方が適切であるように思える。何故なら、その関係性は一見搾取されてるようにみえ、実はギブアンドテイクみたいな部分があるように思えるからだ。


まあ、言い方の違いや、ニュアンスの違いだけ、といわれれば、その通りだったり。


では、どう接続性が無いか? と問われると、簡単には説明しづらい。が、ひとことで強引に言ってしまえば「先後輩での関係から生じる壁」みたいなものだといえる。特にこのけいおん部3年の4人は、最初から関係性として完成されていたので、むしろその完成された関係性からみれば、梓は実に異様な存在に見えてしまうようにも見える。



3.→環境の変化による構造の打破の可能性

しかしふと思ったが、「あずにゃん搾取構造」って高校生だから成り立つのではないか? 大学生になったら、高校で言う「先輩後輩の仲」とは性質が変化するだろうし。つか、正直な話、梓は精神的な成長という面では、正直あの 4人より成長早そうな気がする。


何故なら、あの4人はあの4人で自己完結してるから、ある意味4人5脚状態で、成長する速度が遅いといえる。しかしその5脚の中に入りきってない梓は、まだ「3年生」というひとり成長できるグラウンドが用意されている。そこで梓がどう振る舞うかによって、またワンランク成長する可能性は否定できない。



4.見えてきた『問題』の解決法→「時間による解決」か、「決断による解決」か?

結論からいうと、用意周到なまでに、決断による解決は回避されるよう描写されているので、決断による解決はまずあり得ない、といっても過言ではないと思う。というか、そもそも決断による解決は1期の梓の態度や、2期の16話から見たら分かるとおり「急激な変化による、革新の実行」……革新は言いすぎか、って、まあ、そのような形で丁寧に否定されている。具体的に挙げるなら、主に唯が「だってあずにゃんあずにゃんだもん」という主張や、それに対する梓の反応が、それを証拠付けているといえる。


となると、時間による解決を待つしかなくなる。そして、その解決する姿は恐らく劇中では描かれないだろう、たぶん。しかし、ここで「最終回での解決もありえるのでは?」と、疑問に思われる方も居られるかと思うが、正直それは無い。理由は簡単で、接続性の無さが早期解決を否定している。


もっと簡単な言い方をすると、梓がひとりぼっちになる、というのはむしろ杞憂で終わる可能性が高い*1訳です。しかし、梓自身がその可能性を払拭できておらず、それどころかむしろ深刻化してる時点で、ひとりぼっちにならない *2とは言い切れないわけです。


さぁ、あと2話、どうなるのでしょうね……?




過去関連エントリ:
けいおん16話における「カムバック、私」について
http://d.hatena.ne.jp/str017/20100805/p1
Re:紬の本気についての考察
http://d.hatena.ne.jp/str017/20100722/p2
けいおん!! 第13話 主に『夢』と『夏祭り』について
http://d.hatena.ne.jp/str017/20100706/p3
けいおん!!5話における、梓と純の距離感。
http://d.hatena.ne.jp/str017/20100510/p1
けいおんのシリアスを否定するなら、もうちょい具体例を挙げよう
http://d.hatena.ne.jp/str017/20100422/p1
『続・あずにゃん問題』改め、あずにゃんが抱えるオルタナティブ的な問題
http://d.hatena.ne.jp/str017/20100412/p1


けいおん! 第13話(番外編)
http://d.hatena.ne.jp/str017/20090703/p1
あずにゃん問題なんて、ほんとはなかった
http://d.hatena.ne.jp/str017/20090713/p2
吾妻さんのけいおん批判に関して、私なりに思った事
http://d.hatena.ne.jp/str017/20091019/p1

*1:放課後ティータイムは卒業しても続行+けいおん部は純加入で続行→どう見てもぼっちじゃない

*2:=あの5人のつながりは、強固