けいおん!! 第13話 主に『夢』と『夏祭り』について

うーん、まさかメタ演出を使ってくるとは……私的にはけいおんはベタであって欲しかっただけに、今回は少し残念だったかも知れませぬ。いや、面白い回ではありましたが。しかし、ベタはベタとして存在している回でもあります、そもそもけいおんは基本的に、見てる側の見方を先鋭化させずとも、話を読み取れるように作ってあるっぽいので、今回も普通に見てれば大丈夫かと。


以下、今回のお品書き。

  1. 梓は何であの夢を見たの? 夢について少し。
  2. A:夢の解釈、梓が先輩達をどう思っているのか?
  3. B:夏祭りの解釈と、あずにゃんぼっち問題について。
  4. 余談、あるいは蛇足


1.梓は何であの夢を見たの? 夢について少し。

夢を見た理由、これは説明せずとも、冒頭で唯達が楽しく勉強している写メを見て「何かつまんない……」と呟いたところから分かります。つまり、意識が唯達に向いてるから夢にまで出てきた、と考えるのが自然です。少しの寂しさ、という理由もありそうですが。


しかしながら、あの夢の内容を考えると、額面通りに「寂しさ」よりも「退屈さ」の方が強いみたいです、それも相当なまでに。それと比べると、最後に梓が夢だと疑念した夏祭りの内容は、見方に寄ればやたら深刻で、他の夢と比較すれば一線を画します。つまり、みんなと合流するまでに梓が見てた夢は、結構「退屈しのぎな夢」なのかもしれません。



2.A:夢の解釈、梓が先輩達をどう思っているのか?

梓が見た夢を並べてみると……

唯:自室に籠もり、ギターを弾きながらスイカを食べて、最後に腹を下す。
澪:独りでホラー映画を見に来て、気絶する。
紬:福引きを回し、夢だった7等のティッシュを当てる。
律:梓に『焼きそばジェットスライダー』を勧める。

こう並べると、りっちゃんだけやたらカオスなような気がするんですが、気のせいでしょうか……?


この夢は当然、梓の主観から観た夢なので、ここから「梓は先輩達をどう思ってるか?」というのが、割と簡単に導けます。ここからザックリ読み取るなら、唯は「ギー太と食べ物大好きな天然」で、澪は「恐がり」で、紬は「庶民的なモノに憧れる人」で、律は「ハチャメチャな人」と解釈することができます。って贔屓目に見ずとも、これは流石に律のイメージだけは酷すぎる……(笑



3.B:夏祭りの解釈と、あずにゃんぼっち問題について。

夏祭りの解釈に関してざっと説明すると、梓は唯の手に引っ張られて走るが、人混みにぶつかって唯達とはぐれてしまい、空を見上げると花火はもう鳴り止んでいた。という部分を、今まで梓は唯の手に引かれてたが、唯達が卒業すると、梓はひとりぼっちになってしまい、楽しい時間は終わってしまった。と解釈できます。


次に『あずにゃんぼっち問題』に関しては、私が過去何度も指摘している『梓のオルタナティブな問題』を一般的に言われている言い方で、とても簡単に説明すると「先輩達が卒業したら、あずにゃんぼっちになるんじゃね?」という問題です、詳しい説明は以下に。

『続・あずにゃん問題』改め、あずにゃんが抱えるオルタナティブ的な問題 - 流し斬りが完全に入ったのに
http://d.hatena.ne.jp/str017/20100412/p1

そして、トドメに最後の方に梓が「そっか、もうすぐ私……ひとりになっちゃうんだ……」と自覚してしまうところでしょうか。これは、とうとう『あずにゃんぼっち問題』が浮上してしまったのか!? と解釈できます……が、ちょっと待って下さい! その前に今回の話に置いて、id:Zucce さんが重要な指摘をされておられますので、そちらをご覧下さい。

ストーリー上で「大問題!」として起こるものではなく、「これ見たら、普通こう思うよね。」という感じで、ストーリー上で起こっている訳ではないことを、見てる側には必然的に感じさせるように意識されて作られている。

今後「あずにゃん問題」がストーリー上に表面化した場合への準備をさせているし、特に問題化することなく話が進むなら、「あずにゃん問題なんて杞憂に過ぎなかったんだ!よかった!!」の、どちらにも対応できる。山田監督マジ策士!


あずにゃん問題」は起こってるけど、起こってない。 - ソラゴト体系
http://d.hatena.ne.jp/Zucce/20100703/p1

つまりは、極端な話今回みたいなフリを振りまくったのにも関わらず、その後の話で今回のお話が放置される可能性も十分にありえる訳です。まあこれは飽くまで極論ですが、実際問題今回の梓が夏祭りで感じた「これも夢なのか?」という感覚から得られた、自分が独りになってしまうと感じるのも、飽くまで梓の主観以外の何者でもないわけです。だから、この心配事は杞憂で終わる可能性だってあるわけです。というかむしろ杞憂で終わると良いな! 杞憂で!*1


しかしながら、梓が唯達とまた放課後ティータイムとして活動をしていくか、軽音部に新入部員を入れて自ら活動するか、それとも両立するか、は何れかは自身で選択させられることも事実です。今回までのお話を踏まえると「純を加えての新軽音部」という道が一番それっぽくはありますが、さて。


しっかし、梓って、だいぶ唯に依存してるよね…… 例えば3話の「私の目が届く範囲にいてください」や、9話のゆいあずやら、12話で唯が「私たちの方がすごいよね」と言った後、真っ先に賛同したり、んで今回とうとう「そっか、もうすぐ私……ひとりになっちゃうんだ……」 と、自身の置かれている身を自覚してしまったり。



4.余談、あるいは蛇足

ここで、5話の伏線が……!? 梓が先輩の話ばっかりするところで、純がムッとしたような表情を見せたり、その後純もけいおん部の面子と一緒にかき氷食べてたり、最後「翌年の軽音部が梓ひとりだったら」という条件付きで純が軽音部入りを約束したりして*2、5話でのあれこれはここに繋がってきたのかーと。

けいおん!!5話における、梓と純の距離感。 - 流し斬りが完全に入ったのに
http://d.hatena.ne.jp/str017/20100510/p1

まあ、↑のエントリは少々読みすぎ感はありましたが(汗 当たらずしも遠からず、といった感じだったかと。


割と些細なことなんだけど、梓が唯達とはぐれたあと、純が「じゃ、帰ろうか」と言ったシーンに関して、あのシーンで唯達が梓放置で花火に夢中になってたら→唯達ひどくね? になりそう。一方、唯達が梓を探しているのに、途中でバックれる状態だったら→純ひどくね? になりそう。



関連過去エントリ:
『続・あずにゃん問題』改め、あずにゃんが抱えるオルタナティブ的な問題
http://d.hatena.ne.jp/str017/20100412/p1
けいおんのシリアスを否定するなら、もうちょい具体例を挙げよう
http://d.hatena.ne.jp/str017/20100422/p1
けいおん!!5話における、梓と純の距離感。
http://d.hatena.ne.jp/str017/20100510/p1


けいおん! 第13話(番外編)
http://d.hatena.ne.jp/str017/20090703/p1
あずにゃん問題なんて、ほんとはなかった
http://d.hatena.ne.jp/str017/20090713/p2
吾妻さんのけいおん批判に関して、私なりに思った事
http://d.hatena.ne.jp/str017/20091019/p1

*1:もちろん、杞憂で終わるわけ無い、と何故か確信のような予感もビンビンしてたり。

*2:口約束ですがw